| 【巻頭言】
国内では、中央教育審議会の「地方教育行政」に関する答申(1998)で、学校が地域に開かれ、信頼される組織となるように、自己評価の実施と結果の公表を提案したことを手始めに、2002年に学校設置基準が改訂され、自己評価が努力規定とされ、全国的に学校評価システムの導入が進められてきた。2006年には文部科学省により「学校評価ガイドライン」が定められ、各学校は自己評価、外部評価を実施しその結果を公表することが提示された。大学に関しては、1991年の大学設置基準の改定により自己評価が努力規定とされ、次いで義務化された。さらに、第三者評価の必要性が説かれ、2002年には義務化された。2004年に国立大学が法人化された後は、中期目標、中期計画を作り、国立大学法人評価委員会が評価することとなった。このように、学校・大学の自己評価が推奨され、次いで義務化され、第三者評価が推奨され、次いで義務化されるといったトップダウンの経緯をたどっている。学校・大学が全国一斉に評価の網が法的にかけられたところから、表面的な評価実施率は高いものの、現場の教職員の評価に関する知識はきわめて限られたものでしかなく、大きな混乱や反発があるのが実態であり、評価をどのようにして教育行政に円滑になじませ、PDCAサイクルに真に生かしていくかが問題となっている。わが国の教育行政に即した、学校評価理論の構築と評価実践のベストプラクティスの蓄積が必要とされている。
長尾論文は、学校評価の理論を学校評価の仕組みの理論と学校評価の実践の理論の二層構造の枠組みを示している。石田(謙豪)他論文は、この理論に基づく公立小学校による学校評価の実践報告である。また、齋藤・林論文は第三者評価機関である大学評価・学位授与機構が2000年度から2003年度まで国公立大学等延べ550組織に及ぶ試行的評価を実施した評価結果を分析し、評価設計、評価結果の妥当性、その成果について論じている。
一方、開発援助の世界では、教育分野、とりわけ、ベーシック・ヒューマン・ニーズを重視する関係もあり、低所得国での基礎教育や学校外のノンフォーマル教育部門への援助が増加しているが、自立発展性をどう担保するかが大きな問題となっている。学校建設、教員や地方教育行政官の研修など、効果的な学校や教育行政の仕組みを作る段階での評価を行わなければならず、ある程度できあがっている教育の仕組みをどう改善していくかというところにまで至っていない場合が多い。自律発展性を担保する解決策の一つとして、様々な形の参加型援助やプログラム援助の効果が期待されている。また評価を事業改善、能力開発の一環と位置づけ、参加型で評価する試みも行われている。
西村論文は、教育評価についての既存の国際学力調査、学校調査、世帯調査を比較・対比させ、開発途上国においては各種調査の結果が大きく乖離し、総合の必要性が特に大きく、定量的なデータだけでは得られない推論を定性的な調査から得ることの重要性を示している。石田(洋子)論文は、限られた資源で教育改善を進めるために、教員配置や教科書配布、学校施設維持管理への技術指導など、住民の活動に対する行政サービスを行う教育行政官の能力向上の必要性について述べている。源論文は、定型化が困難なノンフォーマル教育において、参加型評価は、利害関係者間の「対話」を通して、態度・行動変容といった質的側面の指標化を可能とし、より適切な提言策定とその活用に繋がる可能性が高く、関係者の評価能力向上を含めたマネジメント能力の向上、ひいては組織強化に繋がる可能性があることを示している。三輪論文は、ホンジュラス及びベトナムの「万人のための教育―ファスト・トラック・イニシアチブ」を事例に、開発成果実現の観点から、プログラム・ベースド・アプローチによる援助の形成評価を行っている。
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